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経営状況の評点(Y点)アップのための対策


 Y点の構成要素としては、X1〜X8までの8つの指標がありますので、これらのうち、Y点に対する寄与度の高い部分から改善策を講じていけば効率よくY点が改善できることが期待できます。



 しかし、寄与度にばかり目を奪われて、どれか一つの指標だけを良くするために場当たり的にそれに対応した何か一つのことをすれば良いというものではなく、各指標はそれぞれ相互に密接に関連しあっていますので、会社全体の財務体質の改善を図るために何をすべきか?という視点で取り組めば、おのずと、すべての指標が改善する方向に向かいY点アップにつながるでしょう。



 では、財務体質を改善するために、何に着眼して、どのように進めて行ったらよいでしょうか?



 一般に財務体質の改善させるために次のようなことに取り組む必要があり、その結果として、右に示した指標が改善することが想定できます。もっとも、ここに明示したこと以外にもやれることはいろいろあるでしょう。


やるべきこと 具体的に何をするか? 改善する指標
固定資産の処分 1)遊休資産やすでに価値のない資産の処分
例:バブル期に取得した遊休土地、ゴルフ会員権、株式や事業の軌道に乗らなかった開発費など
これらは、維持するのにも費用がかかるものがあり、費用の垂れ流しであったり、経営指標を悪化させる
処分することで資金繰りが改善する効果あり
X3
X5
X6
流動資産の圧縮 1)売掛債権の早期回収
 回収サイトの長い得意先との交渉、営業マンの教育
2)不良債権の処理と予防
 貸倒損失として処理
 予防のための与信限度枠の設定、信用調査の活用
3)過剰な在庫の処分
X3
X6
X7
流動・固定負債の圧縮 1)金融機関への借入金の返済
 資産の処分・回収によって得られた資金で過剰な借入資金を返済
2)役員借入金の処理
 当年度欠損の場合:
  債権放棄してもらう。欠損金と債務免除益の相殺
 当年度利益がある場合
  役員借入金の資本金への振り替え
X1
X2
X3
X6
X7
資本の増強 1)増資→あくまでも緊急的な対処
2)毎期の利益を剰余金として積み立て→王道
 節税は当然やるべきだが、納めるべき税金はきちんと納めて、残った利益を内部留保するという考え方が大切
X5
X6
X8
収益の改善 1)売上高の増加策
 →即効性はないが中長期的に効いてくる
 ・値段を下げないための策:
   自社の強みを生かした専門的サービス提供

2)利益率改善策
 ・無駄を省き効率よく仕事するための策
   専門特化して経営資源を集中し効率を高める
   技術力の強化と社内での共有・育成
   優れた人材の確保→リーダーの人格を磨く
   技術者は無資格が恥ずかしいという空気づくり
   社内で技術者育成→外注費の抑制
   赤字部門の黒字化検討、できないなら撤退
 ・営業エリアを限定する
   移動に伴う時間と経費の無駄を削減

資金力のない会社がやるべきではないこと
 →価格を下げた無理な受注
X1
X2
X3
X4
X7
X8
費用の削減 1)変動費の見直しと無駄の削減→すぐに開始できる
2)固定費の見直しと無駄の削減→すぐに開始できる
X3
X4
X7
X8


 これらをご覧いただくと、すぐに対応可能なものもあれば、一朝一夕にできないものもあります。日頃から財務体質強化について意識して少しずつ改善していくという姿勢が大切です。



 ところで、上の表の「費用削減」のところで、変動費と固定費という言葉が出てきましたので、管理会計についてふれておきます。



 外部報告用として財務諸表を作成する財務会計に対して、管理会計とは企業内部の経営意思決定・業績評価等に役立てるために提供される会計情報です。



 では、まず、財務会計と管理会計の違いを具体的に見ていきましょう。








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