経営事項審査の審査項目とP点の計算方法の概略
経審では、申請会社を経営規模、経営状況、技術力、その他の審査項目(社会性等)について評価し点数化します。
評価の対象となる審査項目は、次のとおりです。
※令和5年1月1日からの改正経審評価項目です。
令和5年1月1日改正経審 経審結果通知書(様式第二十五号の十五)
評価内容 | 審査項目 | 記号 | 記号 | |
経営規模 | 工種別年間平均完成工事高 | X1 | X1 | |
自己資本額 | X21 | X2 | ||
平均利益額 | X22 | |||
経営状況 | 負債抵抗力指標 | 純支払利息比率 | X1 | Y |
負債回転期間 | X2 | |||
収益性・効率性指標 | 総資本売上総利益率 | X3 | ||
売上高経常利益率 | X4 | |||
財務健全性指標 | 自己資本対固定資産比率 | X5 | ||
自己資本比率 | X6 | |||
絶対的力量指標 | 営業キャッシュフロー(絶対額) | X7 | ||
利益剰余金(絶対額) | X8 | |||
技術力 | 建設業の種類別技術職員数 | Z1 | Z | |
工種別元請年間平均完成工事高 | Z2 | |||
その他の審査項目(社会性等) | 建設工事の担い手の育成及び確保に関する取組の状況 | W1 | W | |
建設業の営業継続の状況 | W2 | |||
防災活動への貢献の状況 | W3 | |||
法令順守の状況 | W4 | |||
建設業の経理の状況 | W5 | |||
研究開発の状況 | W6 | |||
建設機械の保有状況 | W7 | |||
国又は国際標準化機構が定めた規格による認証又は登録の状況 | W8 |
客観的評価点数としての総合評定値(P点といいます)は、次の計算式によって算出されます。
総合評定値(P)=0.25X1+0.15X2+0.20Y+0.25Z+0.15W
「令和5年1月1日以降審査基準日が令和5年8月13日まで」と「審査基準日が令和5年8月14日以降」の場合とで、W点の評価項目が一部変更になる(CCUSの導入状況が追加される)こととW点の「点数計算の係数が変更になります(W=(W1+W2+W3+W4+W5+W6+W7+W8)×10×係数/200の係数が 190 ⇒ 175 に変更になる)ので、W点の最高点数、最低点数も変更になり、結果としてP点の最高点数、最低点数も変更になります。
各審査項目及びP点の最高点、最低点は、審査基準日が令和5年8月14日の前後でこちらのとおりです。
各審査項目には、上記のリンクのとおり、それぞれ上限値と下限値があります。端数処理の方法も細かく決まっています。そして、Y点の審査項目以外で、評点を算出するためのテーブルが用意されている項目があり、そのテーブルに基づいて評点を導出しますが、審査項目によっては、各項目の評点が有利になる会計年度のデータを選択できる項目があります。
その1つ目が、工種別年間平均完成工事高及び工種別元請年間平均完成工事ですが、これは、直前2年平均か直前3年平均かを選択し、有利な方で申請することができます。(※ただし、年間平均完成工事高と元請年間平均完成工事高で別々の基準を適用することはできません。)
そして、2つ目が自己資本の額であり、これについては、「基準決算における純資産の合計の額」又は「基準決算及び基準決算の直前の審査基準日における自己資本の額(※=純資産の合計の額)の平均の額」の有利な方で申請することができます。
従いまして、申請の組み合わせとしては、次の4通りになります。
なお、この基準は29種類の許可業種の区分ごとに異なる選択をすることはできません。
年間平均完成工事高 及び 年間平均元請完成工事高 |
自己資本額 |
直前2年平均 | 基準決算 |
基準決算及び基準決算の直前の審査基準日の平均 | |
直前3年平均 | 基準決算 |
基準決算及び基準決算の直前の審査基準日の平均 |
これは、平成20年4月1日施行前の経営事項審査に比べて組み合わせの数が8通りから4通りになりましたので、一見、簡単になったように見受けられます。
しかし、完成工事高については、元請完成工事高を新たに評価することになりましたし、技術職員についても、保有資格について、1級技術者の監理技術者講習受講者や基幹技能者を新たに評価することに加え、1人2業種まで評価することに変更になりましたので、複数業種に力を入れているにとっては、どの業種により多く技術点を配点するかシミュレーションする必要が出てきますので、思ったほど単純な話ではありません。
総合評定値の算出を手計算によって行っていたのでは、現状の把握と改善点のあぶり出し、さらに、目標値の策定を行い、迅速・正確・タイムリーに経営判断に反映させることは非常に困難であることが直感的にお分かりいただけると思います。
さらに、端数の処理方法及び各審査項目の上限値・下限値を考慮していくと、1業種の評点を計算するだけでも、かなり大変な作業となります。
当事務所では、自社開発した評点計算システムで、計算過程と各評点(PだけでなくX1、X2、技術職員評点Z1と元請平均完成工事高評点Z2、W1〜W10)を分解して、組み合わせの全パターンを網羅した評点一覧表(書面)にて明示し、お客様の経営事項審査シミュレーションをバックアップしています。