主任技術者の技術者配置義務の見直し
主任技術者の配置義務が特定専門工事において緩和
本来であれば、建設業者は請け負った建設工事を施工する場合、請負代金の大小、元請・下請にかかわらず、工事現場での施工の技術上の管理をつかさどる者として、必ず主任技術者(発注者から直接工事を請け負った場合で一次下請への発注総額が5000万円(建築一式工事の場合は8000万円)(※R7.2.1金額要件の改正)以上となるときは、主任技術者に代えて監理技術者)を配置しなければなりません。
これを、特定専門工事につき、元請負人と下請負人の合意により、元請会社の直接の下請会社が主任技術者を置くことを要しないこととする改正(新建設業法第26条の3)がなされました。
なお、近年の工事費の上昇を踏まえ、建設業法施行令(昭和31年政令第273号)について改正(令和7年2月1日施行)により、次の改正が行われましたので、ご留意ください。
1)特定建設業の許可・監理技術者の配置・施工体制台帳の作成を要する下請代金額の下限
改正前 4000万円 (建築一式工事は 6000万円)
改正前(R5.1.1以降) 4500万円 (建築一式工事は 7000万円)
改正後(R7.2.1以降) 5000万円 (建築一式工事は 8000万円)
2)主任技術者及び監理技術者の専任を要する請負代金額の下限
改正前 3500万円 (建築一式工事は 7000万円)
改正前(R5.1.1以降) 4000万円 (建築一式工事は 8000万円)
改正後(R7.2.1以降) 4500万円 (建築一式工事は 9000万円)
3)特定専門工事の下請代金額の上限
改正前 3500万円
改正前(R5.1.1以降) 4000万円
改正後(R7.2.1以降) 4500万円
対象とする工事(新 法第26条の3 第2項)
この制度の対象となる建設工事は、建設業法第26条の3第2項で、政令で定める「特定専門工事」とされています。特定専門工事とは、
1)土木一式工事又は建築一式工事のうち、その施工技術が画一的であり、かつ、その施工の技術上の管理の効率化を図る必要があるものとして政令で定めるものであって、
2)当該建設工事の元請負人がこれを施工するために締結した下請契約の請負代金の額(当該下請契約が2以上あるときは、それらの請負代金の額の総額)が政令で定める金額未満となるものをいう、
とされています。
1)については、鉄筋工事と型枠工事。
2)の政令で定める金額は、4500万円(R7.2.1金額要件の改正)。
配置される主任技術者の要件(新 法第26条の3 第6項)
元請負人が置く主任技術者は、次に掲げる要件のいずれにも該当する者でなければならないとされています。1)当該特定専門工事と同一の種類の建設工事に関し、一年以上指導監督的な実務の経験を有すること
2)当該特定専門工事の工事現場に専任で置かれること。
適用を受けるための手続き(新法第26条の3第1・3・4・5項)
特定専門工事の元請負人と建設業者である下請負人が次の事項を記載した書面において合意をする必要があります。この際に、元請負人は注文者の書面による承諾を得る必要があります。
1)特定専門工事の内容
2)元請負人が置く主任技術者の氏名
3)その他国土交通省令で定める事項
再下請の禁止 新法第26条の3 第8項)
主任技術者を置かないとした下請負人は、その下請負に係る建設工事を他人に請け負わせてはなりません。違反した場合は、監督処分の対象となります。ただし、本制度を利用せず、主任技術者を置いている下請負人は、再下請が可能です。
本制度の適用による効果
元請負人においては、元請負人の主任技術者が、合意した下請負人の技術上の管理を行うことができるので、自社施工分を超える業務量に対応しやすくなり、また、下請負人においては主任技術者の配置義務がなくなることにより、他の建設工事の受注の機会を確保しやすくなります。結果として、建設業における重層下請構造の改善に寄与することが期待できます。
