会社が倒産し当時の役員との連絡も取れない場合の実務経験の証明
専任技術者の要件を実務経験でクリアしようとする場合、相当の裏づけ書類並びに建設業許可申請書 様式第九号「実務経験証明書」が必要になりますが、この書類の「証明者」は、通常は、当時あなたが雇用されていた会社の社長(個人であればその事業主)となります。
既にその会社が倒産してしまっている場合は、当時の代表者又は当時の役員(取締役)に連絡が取れる場合には、それらの立場であった方々から印鑑証明を添付のうえその方の実印で証明を受ければ証明とすることができます。
しかし、当時勤務していた会社において円満退社ではないケースや、当時の代表取締役又は当時の取締役との連絡が取れない状況の場合には、「自己証明」という方法が例外的に認められています。
自己証明をする場合には、その会社に勤務していたことを自ら証明するわけですが、客観的な証拠となる書類が必要となります。
それは、当時勤務していた会社が社会保険に加入していれば、社会保険事務所で社会保険加入期間を証明する書類「被保険者記録照会回答票」が入手できますから、客観的な証拠とすることができます。
一方、その会社が社会保険に加入していなかった場合には、社会保険加入期間証明を取得しても、「国民年金」のため当時勤務していた会社名は印字されませんから、他の書類で証明することとなります。
たとえば、当時の会社における源泉徴収票(会社押印のあるもの)や給与が振込みであれば、会社名がわかる銀行預金通帳の原本など、複数の書類を組み合わせたうえで、各都道府県の建設業許可窓口で担当官と相談という形になり、信憑性が確認できる場合には、認めてもらえるでしょう。
ただ、管轄の行政窓口によっては、「自己証明をむやみに認めるべきではない」という扱いがなされている場合があります。
すなわち、証明会社が倒産している場合で当時の役員と音信不通の場合などには自己証明で認めざるをえないけれども、証明会社が存続しているにもかかわらず、「単に証明会社の社長と仲違いしているから」とか、「意地悪されて証明印をくれない」という理由では、自己証明は認められません、ということです。
「意地悪されているのに、証明印をどうやってもらえばいいのだ」
と思いますよね。
そういうときは、行政書士を通して行政側との交渉し、申請者がどの程度のどういう努力をすべきなのか?という見解のすりあわせを行ったうえで、行動することがとても重要で、有効なのです。
ですから、日頃から建設管理課の窓口に顔をよく出して、担当公務員とコミュニケーションをとっている行政書士に任せたほうが断然よいといえます。
経験年数だけは人並み以上にあっても、行政書士は事務所にいるばかりで、申請は職員任せで所長の行政書士が建設管理課の公務員から顔も覚えられていないというような場合もありますから、よく観察したほうがよいですね。