建設業許可新規取得で特に重要な2つの要件を今すぐチェック!
注文書、契約書など裏付け資料や経歴は日頃から整理しておこう
日中は現場があり、超多忙で許可のことまでなかなか手が回らないとお悩みの建設業経営者のために。
さあ、明日への切り札、建設業許可をぜひ取得して、事業を発展させていきましょう!
建設業許可を取得したいとお考えの経営者にとって、自社が許可の要件を満たしているのか?満たしているのなら、それの要件を確認する書類としてどんなものを準備したらよいのか?ということは、気になるところですよね。
建設業許可申請においては、許可要件は5つあります。
そして、その要件を満たしているかどうかを客観的に審査するために、建設業許可申請書の所定様式や、確認資料の提出・提示が要求されます。
この確認書類については、どんなものを準備すればよいか都道府県によって扱いがまちまちですから、それぞれの都道府県庁の担当課に問い合わせる必要があります。
そして、これらの確認書類が曲者になります。
どういうことかといいますと、実質的に貴社が建設業許可上の要件を満たしていたとしても、その事実を証明できないばかりに、許可してもらえないことがあるので、許可要件がどういう内容であるか?や確認書類がどういうものなのかを早いうちから知り、日頃からの準備しておくことが大切なのです。
さて、建設業許可申請における5つの許可要件のうち、どの要件が欠けても許可が下りることはないのですが、特に重要で証明が難しいのは、
1.経営業務の管理責任者等の要件を満たしているか?
2.専任の技術者の要件を満たしているか?
の2つになります。
それを確認するまえに、許可申請上の法人の役員や個人事業主本人が欠格要件に該当していると現時点では許可を受けることはできませんので、欠格要件に該当していないかどうかを最初に確認してください。
欠格要件に該当しておらず、適正な社会保険への加入をしている場合は、まず貴社が、建設業許可上で特に重要なこの2つの要件を満たしているか判定していくことにしましょう。
許可要件1.経営業務の管理責任者等の要件を満たせるか?
【STEP1】経営業務の管理責任者等の要件を満たしているかのチェック
経営業務の管理責任者等の要件については、建設業法第7条第1号において、国土交通省令で定める基準に適合する者であることとされております。
建設業法第7条1号 国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。 一 建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして国土交通省令で定める基準に適合する者であること。 |
そして、「国土交通省令で定める基準」は建設業施行規則第7条一号に定められています。
建設業法施行規則第七条 法第七条一号の国土交通省令で定める基準は、次のとおりとする。 一 次のいずれかに該当するものであること。 イ 常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者であること。 (1) 建設業に関し五年以上経営業務の管理者としての経験を有する者 (2) 建設業に関し五年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る。)として経営業務を管理した経験を有する者 (3) 建設業に関し六年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補助する業務に従事した経験を有する者 ロ 常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者であって、かつ、財務管理の業務経験(許可を受けている建設業者にあっては当該建設業者、許可を受けようとする建設業を営む者にあっては当該建設業を営む者における五年以上の建設業の業務経験に限る。以下このロにおいて同じ。)を有する者、労務管理の業務経験を有する者及び業務運営の業務経験を有する者を当該常勤役員等を直接に補佐する者としてそれぞれ置くものであること。 (1) 建設業に関し、二年以上役員等としての経験を有し、かつ、五年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者(財務管理、労務管理又は業務運営の業務を担当するものに限る。)としての経験を有する者 (2)五年以上役員等としての経験を有し、かつ、建設業に関し、二年以上役員等としての経験を有する者 |
ただし、この条文を読んだだけでは、内容を正確に理解するのは困難であり、あわせて最新の建設業許可事務ガイドラインを読み込む必要があります。
1 | 建設業許可事務ガイドラインについて(平成13年4月3日国総建第97号 総合政策局建設業課長から地方整備局建政部長等あて) 最終改正 令和2年12月25日国不建第311号 (※ここからダウンロードいただけます) |
これらを丁寧に読み込んで理解するのは大変ですので、経営業務の管理責任者等になることができる職制上の地位や経営業務の管理責任者等の経験として認められる職制上の地位、その経験の必要年数などを図表にまとめました。ダウンロードして、一緒にご覧いただければと思います。
1.経営業務の管理責任者等として認められる経験と職制上の地位
2.経営業務の管理責任者等の要件
あわせて、「経営業務の管理責任者等を設置していることとは?」に具体的に記載しましたので、こちらを確認したうえで、もしくは分かりにくい用語に対応する解説へリンクを貼っていますので、その都度確認しながら進んでください。
経営業務の管理責任者等の要件を理解するうえで
1 | 現在、どういう役職(職制上の地位)に就いていないと経営業務の管理責任者等になれないか? |
2 | 過去、どういう役職(職制上の地位)における、どういう経験が経営業務の管理責任者等になれる経験として認められるのか? |
3 | その経験が何年必要か? |
に注意して読み進めていただくと、理解しやすいです。
まず、現在、どういう役職に就いていないと経営業務の管理責任者等になれないか?という点についてですが、この表で示す役職に就いており、かつ、「常勤」であれば、まずはこの点はクリアとなります。
法人・個人 | 現在、どういう役職に就いていないと経営業務の管理責任者等になれないか?つまり、「経営業務の管理責任者等になれる職制上の地位」とは何か? |
個人 | 1.事業主本人 2.その支配人(※商業登記簿上に登記のある支配人に限る) |
法人 | 1.業務を執行する社員 2.取締役 3.執行役 4.これらに準ずる者 |
次に、過去、どういう役職におけるどういう経験があれば経営業務の管理責任者等の経験として認めてもらえるのか?についてですが、下記の示す職制上の地位により、求められる経験が異なります。この経験は次の一覧表のようにA〜Cの3種類に分類できますが、それぞれの内容はリンク先で確認してください。
過去、どういう役職で? (経営業務管理責任者の経験として認められる職制上の地位) |
どういう種類の経験が必要か? | |
個人:本人 | A.経営業務の管理責任者としての経験 (建設業施行規則第7条第1号イ(1)該当) |
|
個人:支配人 | ||
個人:経営業務の管理責任者に準ずる地位 | C.経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験 (建設業法施行規則第7条第1号イ(3)該当) |
|
法人:業務を執行する社員 | A.経営業務の管理責任者としての経験 (建設業施行規則第7条第1号イ(1)該当) |
|
法人:取締役 | ||
法人:執行役 | ||
法人:(建設業許可事務ガイドラインの)これらに準ずる者:法人格のある各種組合等の理事等 | ||
法人:(建設業許可事務ガイドラインの)これらに準ずる者>経営業務の管理責任者に準ずる地位:執行役員等 | B.経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る)として経営業務を管理した経験 (建設業施行規則第7条第1号イ(2)該当) |
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法人:経営業務の管理責任者に準ずる地位:営業所次長や副支店長等 | C.経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験 (建設業法施行規則第7条第1号イ(3)該当) |
|
法人:支店長・営業所長等(政令第3条使用人として届け出ていることが必要) | A.経営業務の管理責任者としての経験 (建設業施行規則第7条第1号イ(1)該当) |
最後に、経営業務の管理責任者等として認められるために、上記、A〜Cの経験のうち、貴社が該当する経験が何年必要か?について確認しましょう。
(1)A.経営業務の管理責任者としての経験 | 5年以上 |
(2)B.経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る)として経営業務を管理した経験 | |
(3)C.経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験 | 6年以上 |
上記の3つが、上から順に建設業法施行規則第7条第1号イの(1)(2)(3)に対応する要件です。
建設業法施行規則第七条 法第七条一号の国土交通省令で定める基準は、次のとおりとする。 一 次のいずれかに該当するものであること。 イ 常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者であること。 (1) 建設業に関し五年以上経営業務の管理者としての経験を有する者 (2) 建設業に関し五年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る。)として経営業務を管理した経験を有する者 (3) 建設業に関し六年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補助する業務に従事した経験を有する者 |
建設業法施行規則第7条第1号イの(1)(2)(3)の経験はそれぞれ内容が異なりますが、他社での経験であれ、法人または個人経験であれ、イの(1)(2)(3)の各区分内においては、経験期間として通算することができます。
そして、建設業法施行規則第7条第1号イの(2)の経験については本号(1)の経験と、建設業法施行規則第7条第1号イの(3)の経験については、本号(1)(2)の経験と通算することができ、前者は本号(2)の経験、後者は本号(3)に該当するものとされています。
実は、令和2年9月30日国不建第180号の建設業許可事務ガイドラインでは、一旦、規則第7条1号イ(1)(2)(3)の各経験は通算することはできない、すなわち、例えば、取締役としての経験Aと執行役員としての経験B、取締役としての経験Aと補佐経験Cのように、種類が異なる経験を組み合わせて経験年数をカウントすることはできないと考えられていました。
その根拠は、令和2年10月1日より前の旧法では、建設業許可事務ガイドラインで通算可能との記載があったのですが、令和2年9月30日の建設業許可事務ガイドラインでは通算を認める文言が削除されており、埼玉県の建設業許可の手引きでも通算できないとされていたのですが、令和2年12月25日国不建第311号の建設業許可事務ガイドラインで通算できる旨が明記されました。
経営業務の管理責任者等の経営経験の拡大と対象業種の拡大
ところで、令和2年10月1日施行の改正建設業法においては、個人の経験によって能力を担保していたこれまでの考え方を見直し、組織の中で経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有することを求めることとされ、経営経験の拡大と対象業種を拡大する改正がなされました。
これは、常勤役員等が上記表のA〜Cにおける経験について必要年数を満たすことができない場合でも、一定の要件のもとに組織の中で経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を認め、建設業許可を受けられるようにするというものです。
具体的な内容は、建設業法施行規則第7条第1号ロ(1)(2)で定められています。
建設業法施行規則第七条 法第七条一号の国土交通省令で定める基準は、次のとおりとする。 一 次のいずれかに該当するものであること。 イ 省略 ロ 常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者であって、かつ、財務管理の業務経験(許可を受けている建設業者にあっては当該建設業者、許可を受けようとする建設業を営む者にあっては当該建設業を営む者における五年以上の建設業の業務経験に限る。以下このロにおいて同じ。)を有する者、労務管理の業務経験を有する者及び業務運営の業務経験を有する者を当該常勤役員等を直接に補佐する者としてそれぞれ置くものであること。 (1) 建設業に関し、二年以上役員等としての経験を有し、かつ、五年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者(財務管理、労務管理又は業務運営の業務を担当するものに限る。)としての経験を有する者 (2)五年以上役員等としての経験を有し、かつ、建設業に関し、二年以上役員等としての経験を有する者 |
建設業法施行規則第7条第1号ロの柱書では、常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者であって、かつ、財務管理の業務経験を有する者、労務管理の業務経験を有する者及び業務運営の業務経験を有する者を当該常勤役員等を直接に補佐する者としてそれぞれ置くものである場合に、組織の中で経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有する、とされることとなりました。
財務管理の業務経験、労務管理の業務経験及び業務運営の業務経験は、許可を受けている建設業者にあっては当該建設業者、許可を受けようとする建設業を営む者にあっては当該建設業を営む者における5年以上の建設業の業務経験に限ることに注意してください。
「直接に補佐する者をそれぞれ」、ですから、例えば財務管理の業務経験者だけでは足りず、財務管理、労務管理、業務運営の全業務に関する経験者を当該常勤役員等の直接に補佐する者として置くことになります。そして、直接に補佐しているかどうかについては、組織図等で確認できることが必要です。
また、これら補佐者の経験は、一人が全てを兼ねることもできますし、それぞれ5年ずつ合計で15年必要ということではなく、5年の間に3つの業務経験を同時に行っていたことが証明できれば、5年の経験でよいということになります。
常勤役員等のうち一人の要件としては、
1)同上同号(1)で、
経験の拡大として、建設業関して2年以上役員等としての経験を有し、かつ、5年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者(財務管理、労務管理又は業務運営の業務を担当するものに限る。)としての経験を有する者
2)同条同号(2)で、
対象業種の拡大として、5年以上役員等としての経験を有し、かつ、建設業に関し2年以上役員等としての経験を有する者
とされています。
1)は、「建設業に関し、2年以上の役員等の経験を含む5年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者(財務管理、労務管理又は業務運営の業務を担当するものに限る。)としての経験を有する者」と言い換えることもできます。
ところで、ここでいう「役員等」の範囲は、「常勤役員等」でいう「役員等」の範囲と異なります。
建設業法施行規則第7条1号ロ(1)(2)でいう「役員等」は建設業法第5条3号に記載があり、「業務を執行する社員、取締役、執行役若しくはこれらの準ずる者又は相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役若しくはこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者をいう」という意味です。
建設業法第五条 (許可の申請) 一般建設業の許可(第八条第二号及び第三号を除き、以下この節において「許可」という。)を受けようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、二以上の都道府県の区域内に営業所を設けて営業をしようとする場合にあつては国土交通大臣に、一の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業をしようとする場合にあつては当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事に、次に掲げる事項を記載した許可申請書を提出しなければならない。 一 商号又は名称 二 営業所の名称及び所在地 三 法人である場合においては、その資本金額(出資総額を含む。第二十四条の六第一項において同じ。)及び役員等(業務を執行する社員、取締役、執行役若しくはこれらに準ずる者又は相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役若しくはこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者をいう。以下同じ。)の氏名 以下省略 |
一方、建設業法施行規則第7条1号イ及びロの柱書でいう「常勤役員等」は、建設業許可事務ガイドライン(23ページ) 第7条関係1.@で定義されており、それによれば次のように書かれており、上記の赤字アンダーラインで示した部分は含まれておりません。
建設業許可事務ガイドライン(23〜24ページ) 第7条関係1.@ 「常勤役員等」とは、法人である場合においてはその役員のうち常勤であるもの、個人である場合にはその者又はその支配人をいい、「役員」とは、業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらの準ずる者をいう。「業務を執行する社員」とは、持分会社の業務を執行する社員をいい、「取締役」とは株式会社の取締役をいい、「執行役」とは、指名委員会等設置会社の執行役をいう。また、「これらの準ずる者」とは、法人格のある各種組合等の理事等をいい、執行役員、監査役、会計参与、監事及び事務局長等は原則として含まないが、業務を執行する社員、取締役又は執行役に準ずる地位にあって、建設業の経営業務の執行に関し、取締役会の決議を経て取締役会又は代表取締役から具体的な権限移譲を受けた執行役員等については含まれるものとする。 |
さて、ここまでご覧いただければ、貴社に経営業務管理責任者としての経験を満たしている方が在籍しているかどうかの判断はできると思います。
あなた(の会社)はどうでしたか?
一応、経営業務管理責任者として認めらえる経験も年数も、そして、経営業務管理責任者になれる役職も問題なさそうだ!とお感じになってもまだ安心はできません。
最大の難関は客観的な書類でその証明ができるかどうか?であるからです。
どういう場合に、どういう書類で証明するのか?を次の一覧表で確認してください。
経営業務管理責任者として認められる経験として、証明しようとする職制上の地位 | 左地位と期間の確認書類 (※証明が必要な期間分用意) |
個人:本人 | □所得税確定申告書写し(原本提示) □所得証明(※必要に応じて) □保有個人情報の開示をする旨の決定について(通知)の原本と税務署が提供した当該所得税確定申告書の写し(※必要に応じて) |
個人:支配人 | □個人事業の支配人の登記事項証明書 事業主本人が建設業を営んでいることを示すために、事業主本人の所得税確定申告書等も必要になってくると考えられます。 |
個人:経営業務の管理責任者に準ずる地位 | 1)被認定者による経験が業務を執行する社員、取締役、執行役若しくは法人格のある組合等の理事等、個人の事業主又は支配人その他支店長、営業所長等営業取引上対外的に責任を有する地位に次ぐ職制上の地位における経験に該当することを確認するための書類 □組織図その他これに準ずる書類 2)被認定者における経験が補佐経験に該当することを確認するための書類 □業務分掌規程、過去の稟議書その他これらに準ずる書類 3)補佐経験の期間を確認するための書類 □人事発令書その他これらに準ずる書類 例えば、親子間での事業承継の場合が想定されます。 個人事業ですので、組織図、業務分掌規程、人事発令書などはほぼない場合が想定されますが、これらに準ずる書類としては例えば、戸籍謄本等で親族関係を確認するとか、事業主本人の所得税確定申告書に専従者として名前の記載が確認できるとか、他の従業員との比較で給与の支給金額も多く支給を受けている等、総合的に判断して、この地位にあったことや経営者を補佐していたと認定される場合があります。 |
法人:業務を執行する社員 | □履歴事項全部証明書 □閉鎖事項全部証明書(※必要に応じて) |
法人:取締役 | |
法人:執行役 | |
法人:(建設業許可事務ガイドラインの)これらに準ずる者:法人格のある各種組合等の理事等 | |
法人:経営業務管理責任者に準ずる地位>(建設業許可事務ガイドラインの)これらに準ずる者:執行役員等 | 1)執行役員等の地位が業務を執行する社員、取締役又は執行役に次ぐ職制上の地位にあることを確認するための書類 □組織図その他これに準ずる書類 2)業務執行を行う特定の事業部門が建設業に関する事業部門であることを確認するための書類 □業務分掌規程その他これに準ずる書類 3)取締役会の決議により特定の事業部門に関して業務執行権限の移譲を受ける者が選任され、かつ、取締役会の決議により決められた業務執行の方針に従って特定の事業部門に関して、代表取締役の指揮及び命令のもとに、具体的な業務執行に専念する者であることを確認するための書類 □ 定款、執行役員規程、執行役員職務分掌規程、取締役会規則、取締役就業規程、取締役会議事録その他これに準ずる書類 4)「執行役員等としての経営管理経験の期間を確認するための書類」として、 □取締役会の議事録、人事発令書その他これに準ずる書類 |
法人:経営業務の管理責任者に準ずる地位:営業所次長や副支店長等 | 1)被認定者による経験が業務を執行する社員、取締役、執行役若しくは法人格のある組合等の理事等、個人の事業主又は支配人その他支店長、営業所長等営業取引上対外的に責任を有する地位に次ぐ職制上の地位における経験に該当することを確認するための書類 □組織図その他これに準ずる書類 2)被認定者における経験が補佐経験に該当することを確認するための書類 □業務分掌規程、過去の稟議書その他これらに準ずる書類 3)補佐経験の期間を確認するための書類 □人事発令書その他これらに準ずる書類 |
法人:支店長・営業所長等(政令第3条使用人として届け出ていることが必要) | □期間分の建設業許可申請書及び変更届出書の写し(原本提示) ※建設業許可申請書(変更の場合は変更届出書)、営業所一覧表、建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表で、建設業法施行令第3条に規定する使用人の就退任日及び当該営業所の許可業種が確認できるもの。 |
所得税確定申告書の控えを保管していなかった場合や紛失してしまった場合は、市役所の市民税課で所得証明が取れる場合があり、所得証明にて確認書類とすることができます。
また、管轄の税務署で「保有個人情報開示請求書」に記載して、個人情報開示請求をすると、所得税確定申告書の第一表及び第二表を写しで開示してくれますので、開示請求書と税務署からの「保有個人情報の開示をする旨の決定について(通知)」を添付することで、写しの真正性が確保され、原本でなくても確認書類として認めてもらえます。
ただ、所得証明も税務署の個人情報開示請求も遡って証明できる期間に限度があります(つまり時間の経過に伴って、税務署も廃棄などしてしまい、開示してもらえなくなる)ので、許可申請が現時点よりもずっと後になる場合に備えて、早手回しに取得しておいたほうがよいでしょう。
【STEP2】 常勤であるかどうかのチェック
経営業務管理責任者は「常勤」でなければなりません。
これには、現在の会社で常勤であることの確認を求められることは理解できると思いますが、過去の証明する期間において常勤であったかどうかをチェックする必要があります。
過去の証明する期間においては、常勤確認書類の提出を求めない許可行政庁や運用がその申請時点で変更になっている場合がありますので、都度確認する必要がありますが、経営業務の管理責任者としての経験は、その内容を見れば常勤でなければ成し得ないものと考えられますので、過去の証明する期間についても常勤と考えておき、確認書類の準備をしておけば安心でしょう。
個人事業主の場合は、他の会社から給与をもらいながら、個人事業を営んでいる場合は常勤とはみなされませんので、所得税の確定申告書に事業所得以外に給与所得がある場合はその理由を説明できなければなりません。
また、法人であれば、法人税確定申告書の「役員報酬手当等及び人件費の内訳書」に常勤となっていなければならないでしょう。
法人が社会保険(健康保険と厚生年金)に加入している場合は、社会保険に加入期間中は常勤であることの証明になります。
また、前職において常勤であったかどうかは、その前職の会社が社会保険に加入していた場合は、年金事務所で社会保険加入履歴を確認できる書類(被保険者記録照会回答票)を取得すればわかりますので、当該書類で常勤性の確認書類とすることができます。
さらに、建設業許可を前職の会社が取得していたのでしたら、申請書の副本に「別紙一」(法改正前は「別表」と呼ばれていた)という書類に役員の氏名と常勤か非常勤かの別が記載されていますので、副本の原本を提示することで確認書類として認められる場合があります。
証明する職制上の地位 | 常勤性の確認書類 (※例示です。都道府県によって異なる場合がありますので申請先の手引きを確認してください) |
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個人:本人 | □住民票(※抄本で可。マイナンバーの記載のないものの原本を提出) | |
個人:支配人 | ||
個人:経営業務の管理責任者に準ずる地位 | ||
法人:業務を執行する社員 | (東京都・埼玉県で共通) □住民票(原本提出) □健康保険被保険者証(社会健康保険証・国民健康保険証・後期高齢者医療被保険者証)の写し ※東京都 国民健康保険証など事業所名が印字されていない場合は、常勤を確認するため次の順でいずれかの書類。 □ア.健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書又は健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得確認及び標準報酬決定通知書の写し(原本提示) □イ.住民税特別徴収税額通知書(徴収義務者用)の写し(原本提示) □ウ.受付印押印のある確定申告書 法人:□表紙 □役員報酬明細写し (原本提示) 個人:□第一表 □第二表の写し (原本提示) □エ.その他、常勤が確認できるもの □工事台帳 □日報等毎日業務していることが 分かるもの ※埼玉県 ア.法人が社会保険加入している場合 □冒頭、共通書類 イ.法人が社会保険未加入の場合(次のいずれか) □雇用保険被保険者証(写し) □直近の厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書(写し) ウ.法人が社会保険・雇用保険に未加入の場合 □直近の住民税特別徴収税額通知書(写し) エ.法人が社保・雇用保険に未加入で住民税特別徴収をしていない場合 □常勤の念書(実印で押印) □報酬等を支払っていることが分かる報酬等の入金記録のある預金通帳(原本)、源泉徴収簿の写し又は賃金台帳の写し 後期高齢者で雇用保険未加入又は住民税特別徴収をしていない場合 □上記エ.に加え、年金の直近の入金記録のある預金通帳(原本) |
|
法人:取締役 | ||
法人:執行役 | ||
法人:(建設業許可事務ガイドラインの)これらに準ずる者:法人格のある各種組合等の理事等 | ||
法人:経営業務の管理責任者に準ずる地位>(建設業許可事務ガイドラインの)これらに準ずる者:執行役員等 | ||
法人:経営業務の管理責任者に準ずる地位:営業所次長や副支店長等 | ||
法人:支店長・営業所長等(政令第3条使用人として届け出ていることが必要) |
なお、代表取締役の場合は、過去の常勤性の判断は代表取締役であれば足りるとし確認書類は省略できるとする許可行政庁があることがあります。
代表取締役以外の(常務や専務や平の)取締役の場合は、過去の常勤性の確認書類を要求される場合がある一方で、裁量で商業登記簿謄本や登記事項証明書で取締役就任期間が一定年数を満たしていれば常勤性の確認までは求めない場合もあります。
同一の許可行政庁内でも、何らの通知もせずに過去と現在で運用が変更になっていることは割とよくあることなので、微妙な点は都度、許可行政庁に確認するという姿勢が大切です。
【STEP3】 経営業務の管理責任者等として認めらえる経験を証明する確認書類の準備
最後に、経営業務管理責任者として認められる経験を証明する書類が必要。
東京都
次のいずれか。
ア. | 建設業許可通知書の写し |
イ. | 業種内容が明確に分かる工事請負契約書、工事請書、注文書、請求書、入金確認ができる書類(通帳)等の写し(期間通年分の原本提示) |
ウ. | 大臣特認の場合はその認定証の写し(原本提示) |
埼玉県
証明者 | 確認書類 |
個人の建設業許可業者 | 次のいずれか □(証明者の)建設業許可申請書の副本原本、写し不可 □(証明者の)所得税確定申告書控(原本、専従者としての経験を証明してもらう場合) |
法人の建設業許可業者 | 特になし |
個人の建設業無許可業者 | (証明者の)所得税確定申告書控(原本) 工事実績・内容が明記された書類(※原本提示) □工事請負契約書 □注文書等と入金が確認できる預金通帳 □請求書と入金が確認できる預金通帳 ※一式工事については契約書の原本 |
法人の建設業無許可業者 | 工事実績・内容が明記された書類(※原本提示) □工事請負契約書 □注文書等と入金が確認できる預金通帳 □請求書と入金が確認できる預金通帳 ※一式工事については契約書の原本 |
証明する会社が既に倒産していたり、仲違いして許可通知書や副本を借りてくることができない場合は、その証明会社の会社名、所在地、許可番号、許可業種が分かれば、国交省や都道府県庁に照会することで足りる場合があります。
ただし、照会に応じてもらえるかどうかは各都道府県庁の裁量になります。国交省や東京都は電話で応じてくれますが、埼玉県は言った言わないのトラブルになるので、現在は電話での照会には応じてもらえませんので、直接、窓口で相談する必要があります。
工事実績・内容が明記された確認書類を準備することが一番大変です。そして多くの場合は、この確認書類を破棄してしまっていたり、証明者からお借りしてくることが不可能だったりするため、苦労する点です。
なお、工事請負契約書や注文書や請書を取り交わす習慣がなく、口約束だけで工事に着手してしまうことがあると思います。
その場合は、御社からの請求書と入金確認書類で証明書類とすることができますが、例えば、内装仕上げ工事業の許可を取ろうとするのに、請求書に「建築一式工事」のように書かれていて、具体的に内装業と判別がつかないケースが多々あります。
そういう場合は、内装工事をしたことが客観的にわかる設計図や見積書などを提示することになります。
また、手間請けや人工出しは請負ではありませんので、建設業に該当せず、確認書類とすることができませんので注意してください。
請求書等の記載内容について判断に迷うようでしたら、当事務所に現物を見せてください。
さて、ここまで確認書類は入手できそうでしょうか?商業登記簿謄本関係は法務局に行けば容易に入手できます。
しかし、証明者の建設業許可申請書の副本の原本や契約書等の原本を期間分となると、集めるだけでひと苦労なものです。
ですから、こういった書類は御社が許可を受けたいと思ったときにいつでも入手可能な状況にしておけるように、自社内での管理はもちろんのこと、関係者にも廃棄などしないようにお願いしておくことが重要です。
ここまで、3つのチェックポイントをすべてクリアして晴れて第1の許可要件である経営業務管理責任者の要件を満たすということになります。
では、次に、重要許可要件2の専任技術者についてみていきましょう。
重要許可要件2.専任技術者の要件を満たしているか?
専任の技術者の要件は、一般の許可か、特定の許可で異なります。
一般、特定の意味については、気になる方のみ、こちらでご確認ください。
新規に許可を取られる方は、通常は、一般の許可でしょうから、特定の許可については個別にご相談ください。
また、専任技術者は要件さえ満たせば経営業務管理責任者と同一人が兼ねることができますので、覚えておいてください。
専任技術者になるには、許可の要件に定められた国家資格を持っている方や実務経験を一定の年数有する方で証明できる方がなることができます。
技術者となることができる実務経験については、こちらで確認してください。
【一般許可の専任の技術者について】
1.一般許可を受けようとする申請業種に関して国家資格をもっている
□ Yes → 2へ □ No → 3へ
2.その資格において実務経験が必要な場合にその実務経験を満たしている又は実務経験がなくても専任技術者として認められる資格だ
(その確認は、こちらの一覧表で行ってください)
□ Yes → 申請業種に関し一般許可の専任技術者になれる
□ No → 6へ
3.申請業種に関して10年以上の実務経験がある
□ Yes → 申請業種に関し一般許可の専任技術者になれる
□ No → 4へ
4.申請業種に関して8年以上の実務経験があるか?
□ Yes → 5へ
□ No → 6へ
5.専任技術者の実務要件の緩和に該当するか?
□ Yes → 申請業種に関し一般許可の専任技術者になれる
□ No → 6へ
6.大卒(短大・高専含む)又は高卒等で申請業種に関する指定学科を修めた後、大卒で3年、高卒で5年以上の「申請業種」について実務経験がある
□ Yes → 申請業種に関し一般許可の専任技術者になれる
□ No → 7へ
7.国土交通大臣が個別申請に基づき、知識・技術・技能を認めた者
□ Yes → 申請業種に関し一般許可の専任技術者になれる
□ No → 専任の技術者になれません。
いかがでしたか?こちらの要件を満たす方が在職しているでしょうか?(代表者の方がこの要件に該当すれば、もちろん問題ありません)
実務経験で証明しようという場合は、いつからいつまで、どういった業務にどんな立場で実際に仕事をしてきたのか、実務経験証明書を書き会社の代表者等に証明していただく必要があります。
さらに、その確認書類として、建設業無許可業者が証明する場合や許可業者でも取得している業種以外の業種を証明する場合は、「工事請負契約書、注文書と注文請書のセット、請求書と入金確認書類等」の原本を期間分提示する必要があります。
1人の技術者が複数の業種を証明しようとする場合は、重複する期間については、1業種分しか認められません。
すなわち、例えば塗装工事と防水工事の経験が平成10年1月1日から平成19年12月31日まで経験があり、大学や高等学校で指定学科を卒業していないため実務経験の短縮を認められない者の場合は、この10年という期間において塗装か防水のどちらか1業種の専任技術者にしかなることができないということです。
専任の技術者として登録しようという方が、いつからいつまで、どんな工事をどんな立場で担当していたかをまとめておくこと、そして、その裏づけ資料を自社で管理しておくことはもちろん、関係者に廃棄しないように呼びかけておくことは重要です。
そうしないと、せっかく実務経験があるのに、証明できないばかりに許可がいただけないということになります。
これらの裏付け資料を、いざ、許可申請の時点になって用意するのは、かなり難しいのです。それは、契約書などは、商法の法定期間が経過すると、廃棄してしまっているのが通常だからです。
また、証明者の会社が既に廃業してしまっていて、そのときの経営者の方との連絡が取れなかったりすることも多々あります。
そうならないために、事前に準備をしておきましょう。
一方、申請する業種につき、専任技術者となる者がその業種の建設業許可業者に在籍していた場合で、許可取得期間において実際に実務を経験していた場合には、許可申請様式の一部である「実務経験証明書」に証明が必要な期間分の実務経験を記載(暦年で1年につき1行に1件記載します。10年証明をもらうなら10行書けばよいということです。「例:●●ビル クロス張リ替え及び床・天井仕上げ工事 他」等と)して、その許可業者の代表者から証明をもらえば足り、「契約書、請求書、見積書、注文書等」の原本を期間分提示は省略できる」ので、その場合は、裏付け準備がかなり楽になりますよ。
さて、実務経験で証明する方、裏付け資料としての注文書や請求書を廃棄してしまっているからといって、どうか簡単にあきらめないでください。
まず、実務経験年数は学歴や修めた学科によって短縮される場合がありますし、注文書や請求書以外のもので証明できる場合もあるからです。
手続きを具体的に進めたいとお考えの方へ
ここまでお読みになり、「何言ってるのかさっぱりわからないよ」
「もうっ、読み返すのも面倒くさい!」
という方は建設業許可専門の行政書士が丁寧に解説しますのでお電話くださいね。
また、「上記の要件は一応満たしていそうだ、経営業務管理責任者、専任の技術者についての裏付け資料も入手可能だ」という建設業経営者の方、新規申請に際して、具体的にどう行動していったらよいか、迷うところだと思います。
実際のところ個々の内容は理解できても、いざ、書類を作成しようとすると、これだけ多くの要件チェックや裏付を手際よくかつ、お役所の担当者からも一切突っ込まれずに作成しようとすると、かなり大変な作業になるはずです。
建設業許可申請書は一見簡単そうに見えても、実は突っ込みどころというか、落とし穴がたくさんありますので、注意が必要です。
ご自分でできないことはありませんが、その場合は自分で自分の首を絞めるような内容の書類を出してしまってから後悔するということがないようにくれぐれも注意してください。
また、注文書や請求書などの書類は廃棄してしまっているといった場合でも、各社の実情によって裏付け資料も変化しますから、自社が許可の基準を満たしているのか知りたいという方も多くいらっしゃることだと思います。
そんな方のために、安部事務所がここに存在しますので、ぜひ、建設業許可申請のご依頼・ご相談 よりお問合わせくださいね。
新規申請について具体的にどんな書類を準備しなければならないか、どんな情報を収集しなければならないか、何から行動しなければならないか、当事務所の事務手続きの流れなどについて、貴社にお伺いし、書面(新規案内セット) でご説明します。
お話をお聞きした結果、現在許可要件が満たされていない場合があっても、近いうちに要件を満たすことができると思いますから、無駄にはなりません。
早い時期から何を具体的に準備していかなければならないのかを知っておくことが重要です。
実際に新規申請のご依頼をいただいたお客様が許可を取得するまでの流れを日記風にまとめた、「ご依頼から新規建設業許可取得までの道のり」も是非ご覧ください。
申請費用については、こちらで料金表をご案内しています。