一般建設業と特定建設業の違いとは?
1件当たりの元請工事について下請に出せる金額の範囲が違うのです
建設業の許可には、その許可を受けようとする業種ごとに、一般建設業の許可又は特定建設業の許可があります。
この違いは何かというと、特定建設業の許可は、一般建設業の許可と比べ、下請負人の保護のために許可要件を加重したものです。
<特定建設業を設けるに至った背景>
すなわち、背景として、建設工事の施工は、独立した各種専門工事の総合的な組み合わせによって成立しており、そのため、建設業は他の産業には類をみないほど多様化・重層化した下請け構造を有しているがゆえに、建設工事の適正な施工を確保するために、建設工事の下請制度に参加する下請負人の体質を強化し、その経営の安定を図り、制度上も下請負人を保護する必要があります。
<特定建設業を設けている理由>
特定建設業の許可は、この下請負人の保護の徹底を期するため、発注者から直接請け負った一件の建設工事につき、4500万円(建築工事業にあっては7000万円・消費税及び地方消費税の額を含む・R5.1.1金額要件の改正)以上の工事を下請負人に施工させて営業する建設業者については、下請負人保護のために重い義務を負わせるべく、特別の許可要件が加重されているものです。
つまり、特定建設業の許可を受けなければならない者は、建設工事の発注者から元請として直接請け負う1件の建設工事について、下請負代金の額が4500万円以上(建築工事業については7000万円以上)(※R5.1.1金額要件の改正)となる下請契約を締結して施工しようとする者とされており、一般建設業許可よりも下請に出せる金額が大きいのです。
また、 下請け契約の金額が制限されるのは、「発注者から直接請け負った工事に関して」であって、元請負人から請け負った工事につき、下請負人がさらに次の段階の下請負人と締結する、いわゆる孫請以下の下請負契約については、何ら制限はありません。
なお、近年の工事費の上昇を踏まえ、建設業法施行規令(昭和31年政令第273号)について改正(令和4年11月8日公布、令和5年1月1日施行)により、次の改正が行われましたので、ご留意ください。
1)特定建設業の許可・監理技術者の配置・施工体制台帳の作成を要する下請代金額の下限
改正前 4,000万円 (建築一式工事は 6,000万円)
改正後 4,500万円 (建築一式工事は 7,000万円)
2)主任技術者及び監理技術者の専任を要する請負代金額の下限
改正前 3,500万円 (建築一式工事は 7,000万円)
改正後 4,000万円 (建築一式工事は 8,000万円)
3)特定専門工事の下請代金額の上限
改正前 3,500万円
改正後 4,000万円
特定建設業許可以外は、一般建設業の許可を受けることとなります。
JVなどの大規模な工事の場合には、多くの建設会社が力を併せて目的物を築造しますので、元締めであるゼネコンなどは、より大きな金額を下請に出せる特定建設業を取得します。