建設業許可票の掲示義務とは?
営業所と元請の工事現場に「建設業許可の標識」を掲示してください
建設業法第40条によれば、建設業者は、その店舗及び建設工事(発注者から直接請け負ったものに限る。)の現場ごとに、公衆の見やすい場所に、国土交通省令の定めるところにより、許可を受けた別表第一の下欄の区分による建設業の名称、一般建設業又は特定建設業の別その他国土交通省令で定める事項を記載した標識を掲げなければならない、とされています。
これまでは、すべての建設業者に建設工事の現場ごとに標識の掲示が義務付けされていましたが、令和2年10月1日からの改正建設業法の施行によって、建設工事の現場に掲げる標識の掲示は、発注者から直接請け負った建設工事に限ることになりました。
法第40条にいう「店舗」とは、法第3条にいう「営業所」のことを指すと考えられます。
その根拠は、営業所に掲げる建設業の許可票の記載事項として、「この店舗で営業している建設業」の記載欄がありますので、建設工事の請負契約を締結しない事務所は該当しないと考えられるためです。
そして、営業所とは、建設業許可事務ガイドライン「営業所の範囲について」(P8)によれば、本店又は支店若しくは常時建設工事の請負契約を締結する事務所をいい、本店又は支店は常時建設工事の請負契約を締結する事務所でない場合であっても、他の営業所に対し請負契約に関する指導監督を行う等建設業に係る営業に実質的に関与するものである場合には、当然に建設業法第3条の営業所に該当するとあります。
そのような営業所は、建設業許可の制度上、営業所として届け出なければならないわけで、そうなれば、建設業許可の標識も掲示しなければならないわけです。
しかし、常時建設工事の請負契約を締結せず、他の営業所に対し請負契約に関する指導監督を行わず、建設業に係る営業に実質的に関与しない営業所は、法第3条の営業所には当たらないので、法第40条でいう標識を掲げる必要はないと考えられます。
店舗に掲げる標識の掲示については今までどおり掲示が必要ですので、ご留意ください。
第40条の規定による標識を掲げない者については、建設業法第55条3号により、10万円以下の過料(※秩序罰、すなわち、刑罰を科すほどではない軽微な形式的違反に対し、行政秩序維持を目的として科される制裁です。)に処する旨が規定されていますので、許可業者は標識を掲示してください。
記載要領
- 「主任技術者の氏名」の欄は、法第26条第2項の規定(特定建設業者が4000万円以上(建築一式においては6000万円以上を下請けに出す請負契約をする場合)に該当する場合には、「主任技術者の氏名」を「監理技術者の氏名」とし、その監理技術者の氏名を記載すること。
- 「専任の有無」の欄は、法第26条3項の規定(公共性のある工作物に関する重要な工事で政令で定めるものについては、設置しなければならない主任技術者又は監理技術者は、工事現場ごとに専任の者でなければならない)に該当する場合に、「専任」と記載すること。 なお、ここでいう「専任」とは、他の工事現場の主任技術者又は監理技術者との兼任を認めないという意味であり、専任の主任技術者又は専任の監理技術者は、常時継続的に当該工事の現場に置かれていなければならないということです。
- 「資格名」の欄は、当該主任技術者又は監理技術者が法第7条第2号ハ又は法第15条第2号イに該当する者である場合に、その者が有する資格等を記載すること
- 「資格証交付番号」の欄は、法第26条第4号(国、地方公共団体その他政令で定める法人が発注者である工作物に関する建設工事については、専任の技術者でなければならない監理技術者は、監理技術者資格者証の交付を受けた者のうちから選任しなければならない)に該当する場合に、当該監理技術者が有する資格証の交付番号を記載すること
- 「建設工事の現場ごとに掲げる標識」の「許可を受けた建設業」の欄は、当該建設工事の現場で行っている建設工事に係る業種を記載すること
- 「国土交通大臣・知事」については不要なものを消すこと。 標識については国や県では取り扱っていません。
建設業許可業者に対して標識の掲示を義務付けた趣旨
- 建設業法による許可を受けた適法な業者によって、建設業の営業又は建設工事の施工が行われていることを対外的に明らかにするため
- 場所的に移動的かつ時間的に一時的である建設工事の施工は、安全施行、災害防止等の責任があいまいになりがちであり、建設工事の下請け重層構造ゆえに多数の下請負人が交互・同時に施行するため対外的に責任の所在が不明確になりやすく、これらを防止するため